モンティホール問題の整理
東大卒の山形先生がこんな初歩的なことで躓いているのが驚きなんだが……。
これを読んでもやもやするところがあったので、自分の頭の整理を兼ねて書いてみよう。
まずモンティホール問題とは何か。そのまま引用する。
モンティ・ホール問題
が、それはさておき、採りあげられている話の中に、あの有名なモンティ・ホール問題があるのだ。みんな知ってると思うけど、基本はドアが三つあって、一つは当たり。二つははずれだ。参加者はどれかドアを選んで、当たりなら賞品がもらえる。でも、そこにひねりがある。
さて、あなたは選択を変えるべきか? みんなご存じだと思うけれど、答は、選択を変えるのが正解。
山形氏はこの元の問題の前提を読み飛ばしてるせいで混乱してるのではないか。
なので、前提を洗い出して、くどいくらいに明文化してみよう。
1. 司会者は当たりのドアを知っている
2. 司会者は絶対に選びなおすチャンスを出す
3. 司会者は絶対にドアを一枚開ける
4. 司会者は絶対に当たりのドアは開けない
5. 司会者は絶対に、参加者が最初に選んだドア以外の、残りの二枚のドアのうち、外れのドアを開ける(どちらも外れならランダムに)
言い替えれば、(そのドアが当たりでも外れでも)司会者は絶対に参加者が選んだドアは開けない
6. 参加者は上の条件すべてを知っているが、勿論当たりは知らない
こんなところだろうか。
で、山形氏は三枚のドアで参加者が二人だった場合どうなるか、という議論をする。
しばらく議論をトレースしてみよう。
とりあえず、簡単のため、二人は絶対に別のドアを選ぶものとする。
すると、山形氏とハギーワギーが二人とも最初の選択で外れのドアを引く可能性がある。
その場合、残りのドアは当然当たりだから、4. に抵触するので司会者はそれを開けられない。
しかし、ドアを開けないなら 3. に違反することになる。
上の 6 つの条件はモンティホール問題なら必ず満たさねばならない条件なので、
山形氏が持ち出してきた改変版はモンティホール問題ではない。
この偽物を真正のモンティホール問題と一緒くたにして考えてるから混乱してるのではないか。
ちなみに、ドアを 100 枚に増やす場合は 6 つの条件を満たしているので真正のモンティホール問題。
そもそもモンティホール問題がなぜ間違えられやすいかと言うと、事前確率がどうこうという難しい話もあるが、それ以前に、最初に自分で選んだドアは、気まぐれにせよ、「オレがオレの自由意志で選んだんだ」感がついて、変えにくくなるからではないか。
例えば、参加者の最初の選択が、司会者から渡された 1 個のサイコロを振って、
1 か 2 が出れば A のドア、3 か 4 が出れば B のドア、5 か 6 が出れば C のドアを選んでください、というルールだったら、正解にたどり着く人(選択を変える人)は、ちょっと増えるんじゃないかな。
あと、どうしても納得できないなら、誰か一人に付き合ってもらって実際に 100 枚ドアバージョンをやってみればいんじゃないでしょうか。実際のドアを用意する必要はなくて、ノートに数字を書いて、山形さんが参加者になって、かつ、司会者のオファーをすべて受ける(選択を変える)ようにして 10 戦やれば、2 問以上外すことはまずないと思います。