きょうだいベイズ問題(3)

あー、わかった。理解した。
2/3 派の言い分を理解した。今度こそ完全に理解した。

例題を出す。

問題(3)

Alpha さんはコイン投げが大好きです。最近は一枚のコインを三回投げたものを一つのグループにして記録しています。
Alpha さんは順番のない(表, 表, 裏)という組み合わせに神妙な美を見出し、それを Bravo と名付けました。
1グループの単位を「ターン」、1グループの中の第一投, 第二投, 第三投をそれぞれ c, d, e とする。
いま Alpha さんは 100 ターン目のコイン投げを終えました。
101 ターン目のコイン投げで、二回表が出た場合、残りの一回で裏が出て、このグループが Bravo になる確率はいくらでしょう?

二通りの解釈がある。それぞれを F 解釈, G 解釈とする。
F 解釈は最後のセンテンスをこう解釈する。

いま Alpha さんは 101 ターン目のコイン投げを実際に始めて、二回(すなわち c と d )で表が出た。
残りの一回で裏が出て、このグループが Bravo になる確率はいくらでしょう?

解答してみよう。
このコイン投げで起こりうる全パターンはこれ。

c d e
s
t
u
v
w
x
y
z

問題の条件から u から z は除外できる。
残りの全パターンは s と t の2パターン。
そのうち e が裏なのは t の1パターン。
ゆえに 1/2 。


G 解釈は最後のセンテンスをこう解釈する。

Alpha さんは 100 ターン目のコイン投げを終えた後、コインにはまったく触らず、架空の世界のコイン投げを想像している。
c, d, e の順番に関係なく表が二回出ている想像世界の中で、残りの一回で裏が出て、このグループが Bravo になる確率はいくらでしょう?

もう一度表を貼る。

c d e
s
t
u
v
w
x
y
z

これが全パターン。
この中で表が2回以上出ているのは、s と t と u と w の4パターン。
そのうち残りの一回が裏なのは、t と u と w の3パターン。
ゆえに 3/4 。

面倒だから細かい論証は省くが、F 解釈がきょうだいベイズ問題の 1/2 派に、G 解釈が 2/3 派に対応する。

ということはこの G 解釈をきょうだいベイズ問題に適応すればいいわけだ。
そういうわけなんだけど、正面から攻められなかったので、まず問題(2)を答えが 2/3 になる形に改変したい。

問題(4)

大きさも形も同じ、金貨と銀貨を一枚づつ、合計2枚用意します。
あなたは目隠しされ、テーブルの前の椅子に座っています。
ゲームマスターの Charley はこの2枚のコインを同時にテーブルに投げ、結果を見て「この2枚のコインは(裏, 裏)の状態ではない」というヒントをあなたに伝えました。
このとき2枚のコインが(表, 表)の状態ではない確率はいくらか?

全パターンを表にするとこう。

q r s t
金貨 金貨 金貨 金貨
銀貨 銀貨 銀貨 銀貨

問題の条件から t は除外できる。
残りの全パターンは q と r と s の3パターン。
そのうち(表, 表)ではないのは、r と s の2パターン。
ゆえに 2/3 。

これを足掛かりに最初の問題を、答えが 2/3 になるような明快な文章に改変したい。

問題(5)

世界中の2人きょうだいのペアを一つの広場に集め、きょうだい同士で手を繋いでもらう。
目隠しをしたあなたが、その広場からランダムに一つペアを選んだ。
そのペアを見たゲームマスターの Charley は「このペアは(女, 女)のペアではありません」とあなたにヒントを伝えた。
このとき、このペアが(男, 男)のペアではない確率はいくらか?

表にするとこうだ。

j k l m
older older older older
younger younger younger younger

問題の条件からどちらも女性のペアである m は除外できる。
全パターンは j と k と l の3パターン。
そのうち(男, 男)のペアではないパターンは k と l の2パターン。
ゆえに 2/3 。

こういうことですよね!