和風旅館問題の拡張(2)

まずは元の問題。

  仲の良い女性5人、男性3人の合わせて8人が旅をしている。夕刻に和風旅館に到着し、女性2人のグループが二つ、男性2人のグループが一つ、男性、女性1人づつのグループが一つの、合わせて四つのグループに分かれて四つの部屋に入った。なお、この時点では旅館の係員はどの人がどの部屋に入っているかは把握していないものとする。
  一息ついた頃、旅館の係員が無作為に一つの部屋を選んでドアをノックしたところ、中から女性の声で「誰かが訪ねてきたようだけど、いま手が離せないのであなたが開けてあげて」と話しているのが聞こえた。このとき、部屋のドアを開けるのが男性である確率を求めよ。

答えは 1/5 。解説は省く。

これの部屋の収容人数を大きくする改変問題を考える。
ただし、その中の一つのグループは女性が1人のグループとする。
まず三人部屋バージョン。

仲の良い女性7人、男性5人の合わせて12人が旅をしている。夕刻に和風旅館に到着し、女性3人のグループが二つ、男性3人のグループが一つ、女性1人、男性2人のグループが一つの、合わせて四つのグループに分かれて四つの部屋に入った。なお、この時点では旅館の係員はどの人がどの部屋に入っているかは把握していないものとする。
  一息ついた頃、旅館の係員が無作為に一つの部屋を選んでドアをノックしたところ、中から女性の声で「誰かが訪ねてきたようだけど、いま手が離せないのであなたが開けてあげて」と話しているのが聞こえた。このとき、部屋のドアを開けるのが男性である確率を求めよ。

図にするとこう。

部屋 A 女, 女, 女
部屋 B 女, 女, 女
部屋 C 女(E), 男(y), 男(Z)
部屋 D 男, 男, 男

まず女性の声が聞こえたので、男性3人の部屋 D の可能性は除外する。
次に、女性が同室者に声を掛ける全パターンを列挙する。
部屋 A は3人の女性が他の2人に声を掛けるので、3 * 2 の6パターン。
部屋 B は A とまったく同じ。6パターン。
部屋 C は女(E) が男(Y) に声を掛けるパターンと、女(E) が男(Z) に声を掛けるパターンの2パターン。
足し合わせて14パターン。
そのうち相手が男性なのは、E → Y と E → Z の2パターン。
2/14 = 1/7
答えは 1/7 。

次は四人部屋。

  仲の良い女性9人、男性7人の合わせて16人が旅をしている。夕刻に和風旅館に到着し、女性4人のグループが二つ、男性4人のグループが一つ、女性1人、男性3人のグループが一つの、合わせて四つのグループに分かれて四つの部屋に入った。なお、この時点では旅館の係員はどの人がどの部屋に入っているかは把握していないものとする。
  一息ついた頃、旅館の係員が無作為に一つの部屋を選んでドアをノックしたところ、中から女性の声で「誰かが訪ねてきたようだけど、いま手が離せないのであなたが開けてあげて」と話しているのが聞こえた。このとき、部屋のドアを開けるのが男性である確率を求めよ。

図にするとこう。

部屋 A 女, 女, 女, 女
部屋 B 女, 女, 女, 女
部屋 C 女(E), 男, 男, 男
部屋 D 男, 男, 男, 男

一般化できないか考える。
部屋の収容人数を n とする。
まず女性の声が聞こえたので、全員男性の部屋 D の可能性は除外する。
次に、女性が同室者に声を掛ける全パターンを列挙する。
部屋 A は n 人の女性がそれぞれ他の n-1 人に声を掛けるので n(n-1) パターン。
部屋 B は A とまったく同じ。n(n-1) パターン。
部屋 C は1人の女性が他の n-1 人に声を掛けるので n-1 パターン。
足し合わせて 2n(n-1) + n-1 パターン。
そのうち相手が男性なのは、部屋 C の女性(E) が他の n-1 人に声を掛けるパターンなので、1 * (n-1) パターン。すなわち n-1 パターン。
すべてのパターンのうち相手が男性のパターンは
n-1 / 2n(n-1) + n-1
n-1 を x とすると
x / 2nx + x
= x / x(2n + 1)
= 1 / 2n+1
ここでも単純な公式が得られた。
これを四人部屋問題に適用すると
1 / 2 * 4 +1
答えは 1/9 。

次は五人部屋問題。

  仲の良い女性11人、男性9人の合わせて20人が旅をしている。夕刻に和風旅館に到着し、女性5人のグループが二つ、男性5人のグループが一つ、女性1人、男性4人のグループが一つの、合わせて四つのグループに分かれて四つの部屋に入った。なお、この時点では旅館の係員はどの人がどの部屋に入っているかは把握していないものとする。
  一息ついた頃、旅館の係員が無作為に一つの部屋を選んでドアをノックしたところ、中から女性の声で「誰かが訪ねてきたようだけど、いま手が離せないのであなたが開けてあげて」と話しているのが聞こえた。このとき、部屋のドアを開けるのが男性である確率を求めよ。

公式は 1 / 2n+1 だった( n は部屋の収容人数)
適用する。
1 / 2 * 5 + 1
= 1/11
Q.E.D.

同じ要領で六人部屋問題。

  仲の良い女性13人、男性11人の合わせて24人が旅をしている。夕刻に和風旅館に到着し、女性6人のグループが二つ、男性6人のグループが一つ、女性1人、男性5人のグループが一つの、合わせて四つのグループに分かれて四つの部屋に入った。なお、この時点では旅館の係員はどの人がどの部屋に入っているかは把握していないものとする。
  一息ついた頃、旅館の係員が無作為に一つの部屋を選んでドアをノックしたところ、中から女性の声で「誰かが訪ねてきたようだけど、いま手が離せないのであなたが開けてあげて」と話しているのが聞こえた。このとき、部屋のドアを開けるのが男性である確率を求めよ。

答えは 1/13 。

賢明な読者諸君はお気づきだろう。
ここでも答えは
1 / (問題文の女性の人数)
になるのだ。

別の観点から見ると
二人部屋問題の答えは 1/5
三人部屋問題の答えは 1/7
四人部屋問題の答えは 1/9
五人部屋問題の答えは 1/11
六人部屋問題の答えは 1/13
つまり
n 人部屋問題の答えは 1 / 2n+1
問題の構造上、必ず女性は 2n+1 人でなければならないので(そうしないと女性1人の男女混合グループを作れない)、答えは必ず
1 / (問題文の女性の人数)
になるんですね。

試しに、部屋の人数は固定で、部屋の数を増やしたバージョンを考えてみる。
四人部屋で部屋を一つ増やしてみよう。

  仲の良い女性13人、男性7人の合わせて20人が旅をしている。夕刻に和風旅館に到着し、女性4人のグループが三つ、男性4人のグループが一つ、女性1人、男性3人のグループが一つの、合わせて五つのグループに分かれて五つの部屋に入った。なお、この時点では旅館の係員はどの人がどの部屋に入っているかは把握していないものとする。
  一息ついた頃、旅館の係員が無作為に一つの部屋を選んでドアをノックしたところ、中から女性の声で「誰かが訪ねてきたようだけど、いま手が離せないのであなたが開けてあげて」と話しているのが聞こえた。このとき、部屋のドアを開けるのが男性である確率を求めよ。

図にするとこう。

部屋 A 女, 女, 女, 女
部屋 B 女, 女, 女, 女
部屋 C 女, 女, 女, 女
部屋 D 女(F), 男, 男, 男
部屋 E 男, 男, 男, 男

これも一般化する。
部屋の収容人数を n とする。
まず女性の声が聞こえたので、全員男性の部屋 E の可能性は除外する。
次に、女性が同室者に声を掛ける全パターンを列挙する。
部屋 A は n 人の女性がそれぞれ他の n-1 人に声を掛けるので n(n-1) パターン。
部屋 B と C は A とまったく同じ。n(n-1) パターン。
部屋 D は1人の女性(F) が他の n-1 人に声を掛けるので 1 * (n-1) パターン。すなわち n-1 パターン。
足し合わせて 3n(n-1) + n-1 パターン。
そのうち相手が男性なのは、部屋 D の n-1 パターン。
すべてのパターンのうち相手が男性のパターンは
n-1 / 3n(n-1) + n-1
n-1 を x とすると
x / 3nx + x
= x / x(3n + 1)
= 1 / 3n+1
これを適用すると
1 / 3 * 4 +1
答えは 1/13 。
これも答えは
1 / (問題文の女性の人数)
の形になっている。

なんともはや。こんな簡単な問題だったのか。

まぁでもこうやって考えたおかげで、部屋の人数をどれだけ増やした問題でも、部屋の数をどれだけ増やした問題でも、即座に答えることができますね。
よしとしましょう。